No.70(中世都市)  : 

「自治都市の成立事情とはどのようなものか?」

自治都市とは自治権を有する都市のことである。それは、諸侯(地方の領主)の
支配を逃れたい都市と、諸侯を抑圧したい王や皇帝とが利害を一致させ、前者
が後者から特許状を得ることで後者に協力するという「ギブアンドテイク」の関係
が成立して発生したといえる。都市が自治権を獲得して近代社会の基盤を形成
する上で、商業ルネサンス(「商業の復活」の意)と呼ばれる11・12世紀という時
期に出現した同業組合であるギルドの果たした役割が大きいことにも注目。

<評価の観点>
関心・意欲・態度:
現在のヨーロッパの主要都市の多くは、商工業者を中心とした都市民が担い手
となった自治都市を歴史的な起源とするため、領主の館や城郭の跡が存在しな
いという事実に、大きな関心を持って学ぼうとしている。

思考・判断:
中央集権化を指向する王や皇帝と、国内市場の統一を期待する商工業者の提
携が、地方分権の封建社会を支える諸侯・騎士への対抗を背景としていること
を、的確に判断している。

資料活用の技能・表現:
様々なギルドの紋章を見て、その職種を言い当てることにより、中世都市の商
人や職人を身近に感じている。

知識・理解:
自治都市と王や皇帝にとって、地方の領主(諸侯・騎士)が「共通の敵」である
という関係を把握しつつ、自治権獲得にギルドが大きな役割を果たした点につ
いても、的確に判断している。